多くの組織は、顧客の役に立ち、より良い社会をつくるために、ステークホルダーとお役立ちの共創を目指しています。

そのような中、安全をおびやかすエラーや労働災害は、顧客や市場、社会全体からの信頼を損なうものであり、自社の存続に大きな影響を及ぼします。

エラーや労働災害は、ルールや制度だけでは防ぐことができないこともあります。それは、「これくらいなら大丈夫」という組織にはびこる慣れや慢心が、ヒューマンエラーを引き起こしているからです。

一人ひとりの「自分ごと化」と組織全体の「当たり前の刷新」を通じて、「何よりも安全を最優先する文化」へと変えること、つまり、安全文化の醸成が求められています。

安全文化の醸成が、より良い社会づくりに向かう組織の前提条件なのです。

安全文化とは?

 

安全文化とは「エラー・労働災害などの事故の発生確率に大きな影響を与える組織文化のこと」です。

社員一人ひとりの意識と現場の習慣、組織全体の価値観に働きかけることが、安全文化醸成の核心であり、安全文化が醸成されている状態とは、「多くの人が安全最優先の価値観を持ち、主体的に安全確保に向けて取り組んでいる状態」を指します。

 

そのようななか、以下のお悩みをよくお聞きします。

  • ヒヤリハットや軽微な事故が減らない

  • KYやTBMが形骸化している

  • 安全施策が現場に浸透しない

  • 「やらされ感」が強く、自分ごとにならない

  • 協力会社の安全意識まで統制しきれない

  • 診断やサーベイの結果を活かしきれない 

これらの悩みを解消し、安全文化を醸成するにはどうすればよいでしょうか。

 

安全文化醸成の3つのポイント

 

組織の安全文化を醸成するには、下記3つのポイントを意識して取り組みを進めます。

 

Point 1
安全文化を
見える化する

エラーや労働災害の背景には、「それが当たり前になっていた」という文化的要因が潜んでいます。

部署・階層・年代・協力会社別に組織文化の強み・課題を可視化します。 

Point 2
「暗黙の当たり前」に気づき
行動へ転換する

現状の安全文化から、そうなっている真因=「暗黙の当たり前」に気づき、集団の行動に影響を与える集団規準を改革します。

※下図参照 

 

Point 3
「安全第一を実現するために好ましい当たり前」を定着させる

関係性を変え、集団行動を変えることで小さな成功体験を積み重ねていきます。
さらに、「納得 → スキル → 実行 → 継続 → 波及」のプロセスで、成功体験を通じて「信念化」へと導きます。

※上記のポイントは、MS&ADインターリスク総研との協働(安全文化の見える化)や、ジェックの独自メソッドをベースにご紹介しています。

 



変革プロセス

 

安全文化醸成の3つのポイントを活かしながら、以下のようなプロセスで変革を進めます。

 

Phase 1
見える化
(安全文化診断)

  • 安全文化の現状を多面的に診断

  • 部署・階層・年代・協力会社ごとの傾向と課題を可視化

Phase 2
自分ごと化
(要因分析・アクションプラン策定)

  • 暗黙の当たり前を発見し、真因を言語化

  • 「そうは言っても会議」などを通じて納得性のある課題を抽出

  • 5W1Hを用いた実行可能なアクションプランを共創

Phase 3
当たり前化
(行動定着と仕組み化)

  • CAミーティングによる行動の確認や継続

  • ノンテクニカルスキル(巻き込み力・叱り方・褒め方)トレーニングの導入

  • 成功体験の共有と波及による職場全体への浸透支援

ある企業の成果事例

やらされ感の強かった現場が、安全文化を可視化し、現場が自ら変わるお取組みへ

  • 企業profile

業種:設備工事業 / 従業員数:約5000名 / お取り組み主管部門:安全品質管理部門

01

お取り組み前

  • ヒヤリハットや災害件数が多く、課題が多く見られた複数の事業場を選定
  • 安全文化診断の結果を元に、半年間の集中取り組みを実施する旨決定

02

お取り組み内容

以下のプロセスで、お取り組みを推進している

1.暗黙の当たり前”の可視化

  • 安全文化診断を実施

2.その背景にある各職場の当たり前とその原因をディスカッション

  • 各職場で現場主体のプロジェクトを立ち上げ、暗黙の「自社の当たり前」の気づきからはじめる
  • 事故やヒヤリハットの背景には表面化していない“暗黙の当たり前”がブレーキ要因になっていることを発見

<ポイント>

  • 「自社の当たり前」として、「元請けによって安全基準が変わるのは当たり前」「指示する人が変われば優先事項が変わる」などがあげられる
  • さらに深く議論すると、「逆らえないから、とりあえず従うしかない」「現場判断でローカルルールが生まれてしまう」など、「本音ベースの“当たり前”」が多数挙がる
  • 上記の本音の当たり前が、現場の判断や行動に影響を与え、 安全最優先の取り組みに“見えないブレーキ”をかけていることに気づく

3.変革の方向性を現場自らが決定

  • 上記の気づきをベースに、“見えないブレーキ”をかけている文化の革新に取り組むことを再確認

4.アクションプランを共創し職場巻き込み策を考え実行へ

  • プロジェクトでアクションプランを共創
  • PDCAを回しながら、職場の意識改革や安全文化醸成、各種問題解決に取り組む

03

お取り組み後の変化や成果

複数の事業所で以下の変化や成果が見られる。

  • 現場の本音が表に出るようになった
    現場間の上表共有、安全ミーティングや現場改善活動が自発的に活発化
  • “元請けによる違い”を言い訳にしない行動が出てきた
  • ローカルルールが解消されつつある
  • エラー・災害件数が前年比で明確に減少
  • 事務局からも「最もアクティブな現場」と評価される

現在は、「安全は守らされるもの」から「自分たちで作るもの」という意識へ変わり、「安全は誰かのためにある」という意識から「やらされ感」を乗り越え職場に根付く文化として育ち始め、安全文化の醸成が進んでいる。(お取り組みは継続中)



安全文化醸成にお取り組みの業種例

安全文化醸成に取り組んでおられる主な業種例をご紹介します。

  • 電力関連事業所
  • 医療施設
  • 装置系製造業
  • 電気事業、建設、化学、製造業、鉄鋼、鉄道輸送、航空輸送 等

 

お問い合わせ・ご相談・資料請求

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