
社会の公器としての企業のあり方/より良い社会を共創するお役立ち道経営1/4
今、なぜ、お役立ち道経営が求められるのでしょうか?
社会の動きから、その意義について考えてみました。
お役立ち道経営とは
自分らしくより良い社会づくりに貢献するために、一人ひとりがお役立ちの精神と技量を究め続けることが「お役立ち道」です。その一人ひとりが集まり、組織(企業や団体 ※以下同じ)としての「お役立ち道」を究めることを「お役立ち道経営」といいます。
具体的には、「お役立ち道の文化をつくり、社会をより良くする価値を共創し続ける経営」を「お役立ち道経営」といいます。「お役立ち道の文化」とは、「『社会をより良くする新たな価値を共に創り続けよう』とする組織文化のこと(ジェック)」です。
社会の公器としての企業のあり方
今、世界規模で、紛争、貧困、環境、災害、人権侵害等、多くの社会課題があります。組織は、「社会の公器」としてこれらの社会課題を解決し、お客様のニーズに応え、より良い社会を創る役割が求められています。
主な社会の動きとして、以下の3つをご紹介します。
◆ SDGs(持続可能な開発目標) ― 国連サミットで採択(2015年)
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
[外務省]JAPAN SDGs Action Platform, https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/, 2024/3/8閲覧
◆ Society5.0 ― 第5期科学技術基本計画(2016.1.22閣議決定)で提唱
●我が国は、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、イノベーションから新たな価値が創造されることにより、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会「Society 5.0」を世界に先駆けて実現していきます。
[内閣府] Society 5.0, https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/, 2024/3/8閲覧
◆ 社会的共通資本 ― 宇沢弘文氏(1928-2014, 経済学者)提唱
●「1つの国ないし特定の地域が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような自然環境、社会的装置(p.45)」を「社会的共通資本」としました。
●この社会的共通資本は、「土地をはじめとする、大気、土壌、水、森林、河川、海洋などの自然資本だけでなく、道路、上・下水道、公共的な交通機関、電力、通信施設などの社会的インフラストラクチャー、さらに教育、医療、金融、財政制度などという制度資本(p.47)」も含まれます。
●そして、このような社会的共通資本を「誰にとっても等しく大事なもの」と位置づけることで、これらをどこかが一様にコントロールするのではなく、皆で守り、持続的な維持をしていくことで「ゆたかな社会」を創ることを目指しています。
<参考>宇沢弘文(2015)『宇沢弘文の経済学 社会的共通資本の論理』, 日本経済新聞出版本部 ※「」内引用
上記のように、自組織とお客様のみならず、社会全体がより良くなることを目指そうとする流れは、お役立ち道経営と相通じる点です。このように「社会をより良くする新たな価値の創造=お役立ち創造」が求められているのです。
「お役立ち道経営」は慈善事業か?本業か?
社会に役立つことを行うのは慈善事業である、と捉えられることがあります。一時期、フィランソロピーやメセナなど、慈善活動や文化・芸術振興を行う「社会貢献活動」に注目が集まりました。そのイメージでお役立ち道経営をとらえてしまい、本業以外に手を出す余裕はないと経営判断をしてしまうケースがあります。しかし、慈善事業ではなく、自組織が培ってきた得意な分野、つまり本業で真っ向から社会の役に立とう、社会課題を解決しようというのがお役立ち道経営です。
自社がお客様と共に、「その先のお客様の課題」や「社会課題」に対して今よりもお役に立てる「お役立ち創造」に取り組むことで、お客様自身のお役立ち度が高まり、お客様の業績も高まり存続し続けられます。その結果、自社との取り組みも続き、自社の業績も高まり存続し続けられます。
このように、現在、多くの組織が、本業を通じて「お役立ち創造」に挑戦しています。さらに、一つの組織で取り組むのではなく、同じ志を持つ組織同士での協業が進んでいます。本業を通じて「お役立ち創造」を目指すからこそ、各組織のコアコンピタンスが強化され、お客様や協業先からも「共創のパートナー」として選ばれ続けることができるのです。
▶お役立ち道オープンバッジを取得しましょう
オープンバッジとは https://oyakudachi-do.net/openbadge