いま実現するお役立ち道経営

第7話:「協調の価値観」を育てる/いま、実現するお役立ち道経営

 ここ数回はお役立ち道の文化をつくるための「挑戦の価値観」「協調の価値観」「お役立ちの価値観」を解説しています。今回は「協調の価値観」を高めるためのヒントについてお話します。


 協調の価値観:共創し協働しようとする価値観


 「協調」という言葉を聴くと、「周りとうまく合わせる」「手を取り合って仕事をしている」というイメージがありますが、それは表面的な協調です。協調の価値観の説明に使われている「共創」とは、目的を実現するために共にアイデアを出し合い、新しい価値ややり方を創造するということです。つまり、一人ひとりが組織に対して、そして仲間に対して積極的に関わっている状態を示します。


 まだ出来たばかりの会社では、何とかビジネスをうまく軌道に乗せようと、メンバー一人ひとりが必死に考え、お互いに意見をぶつけ合い、日々新たな価値ややり方を創造しています。一方で、創業から長年たち、ビジネスが成熟して仕事のオペレーションが確立している状況では、「日々の仕事をうまく回す」ことに意識が向くため、徐々に組織や仲間に対して積極的に関わろうとする意識が減ってきます。皆さんの会社はいかがですか?


 協調の価値観が弱まってくると、「表面的に仲良くする」ことだけに意識が向き、本音の話し合いが生まれなくなるため組織が弱体化してしまいます。新たな価値ややり方が生み出されなければ、これまで以上の大きなお役立ちは難しそうですね。


 では、どうすれば協調の価値観が高まるのでしょうか?


①  お役立ちイメージを共有し、お互いのことを理解しあう

お役立ちイメージとは、自分の強みややりたいことと、会社の方向性をつなぎ合わせ、自分ならではのお役立ちの姿を描いたものです。同じチームに所属するメンバー同士がお互いのお役立ちイメージを認識し合い、その奥にある一人ひとりの想い・強み・価値観等を理解することで「もっとこの人と関わりたい」「この人の力を活かしたい」と思うことが、協調の価値観のベースとなります。

今は、タレントマネジメントシステムを導入し、従業員の情報をお互いに見られるようにしている企業も増えていますので、お役立ちビジョンの内容も閲覧可能にしておくことをお勧めします。


②  「熱い話」をする場をつくり、コミュニケーションの質を高める

新型コロナ禍の影響により、ここ数年で一気にリモートワークが広まりました。働きやすさが高まった一方で、心の通ったコミュニケーションは難しくなったと感じている方も多いようです。そこで、意図的に密度の濃いコミュニケーションの場を設けることをお勧めします。

チームのビジョンや共通目標を一緒に話し合ってつくりだすミーティングはぜひ行うべきでしょう。また、①で紹介したお役立ちビジョンを一人ひとりが発表し、「これから何をすればよりお役に立てるか」をみんなで考える、「おせっかいミーティング」の機会をつくるのもよいでしょう。

いずれにしても、かつては居酒屋やお昼休みに話していた「熱い話」を意図的に行う機会を設けることが必要です。


 協調の価値観は「もっとこの人たちと仕事をしたい」「この職場に貢献したい」という想いを育てますので、エンゲージメントの向上にもつながります。


 次回以降は、お役立ち道経営を促進するために、どのように仕事に取り組むことが大切かをお話していきます。

 

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 「世の中の役に立ちたい」「お客様の役に立ちたい」と本気で考え、仕事のレベルを高めていくことを「お役立ち道の仕事ぶり」と呼んでいます。

 そして、社員同士が手を取り合って様々なことにチャレンジし、よりお役に立てる仕事を創り出していく経営を「お役立ち道経営」と呼んでいます。

 

 このブログでは、社員一人ひとりがお役立ち道の仕事を極め、自分らしくやりがいを持って仕事をする企業をつくるためにはどうすればよいかを考えていきます。

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ききみみねっと

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                             (つづく)



松井 達則
松井 達則
【経歴】 大手金融会社を経て、2001年ジェック入社、コンサルタントとなる 【お役立ちコンセプト】 「自燃型の人財づくり」 自分で考え、自分で動く自律型の人財はもはや当たり前。 自分の心に火をつけ、常に意欲的に行動することで、周りにも火をつける「自燃型」の人財づくりのお手伝いをいたします。