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「BANI」(バニ)と「お役立ち道」(前編)


VUCA(ヴーカ)は古い?混沌、理解不能な世界を明確に表す フレームワークであるBANI(バニ)を知る。


目次[非表示]

  1. 1.BANI(バニ)とは
  2. 2.BANI(バニ)が生まれた背景である世界の変化の例
    1. 2.1.「デジタル技術の飛躍的発展」
    2. 2.2.「グローバル化の加速」
    3. 2.3.「価値観や文化の変容」
    4. 2.4.気候変動や環境問題の深刻化
    5. 2.5.「国際的な不確実性の増大」
  3. 3.BANI(バニ)の意味
    1. 3.1.「脆い」
    2. 3.2. 「不安」
    3. 3.3.「非線形」
    4. 3.4. 「理解不能」


   

BANI(バニ)とは


BANI(バニ)とは、作家で未来学者のジャメイ・キャッシォ(Jamais Cascio)氏により提唱された、世界を表す新たな頭文字のことです。まずは、この「バニ」が生まれた背景から解説します。


これまで、VUCA(ヴーカ)という言葉はしばしば使われており、ご存じの方も多いと思います。VUCA(ヴーカ)とは、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字で、1980年代に登場し、冷戦後、ますますネットワーク化され、デジタル化が進んだ世界のあり方を示す言葉です。


 しかし、ジャメイ氏は2018年に、「ヴーカは、既に当たり前の状態であり、時代遅れである。現代の世界はヴーカでいう変動性や複雑性だけでは何が起きているかを説明できない」として、ヴーカと意図的に並べたBANI(バニ)という言葉を作りました。



BANI(バニ)が生まれた背景である世界の変化の例


「デジタル技術の飛躍的発展」

1980年代以降、インターネットの台頭、デジタル技術の発展、人工知能や機械学習の進化など、技術分野では劇的な変化がありました。これらの技術的な進歩は、情報の流通、コミュニケーションの方法、仕事の仕方などに大きな影響を及ぼしました。


「グローバル化の加速」

これによって、国や地域間の相互依存が高まり、状況が複雑化しています。


「価値観や文化の変容」

人権、多様性、環境意識の高まりなど社会的・文化的価値観の変化が進んでいます。


気候変動や環境問題の深刻化

これらは1980年代は現在ほど多くの人が深刻に受け止めていなかった問題ですが、気候変動による自然災害の増加、生態系の破壊など、今日では世界的な緊急課題となっています。


「国際的な不確実性の増大」

世界的な政治的緊張、経済危機、パンデミックなど、国際的な不確実性が増加しています。



BANIとお役立ち道



ジャメイ氏は、このような変化によって、ヴーカが生まれた当時から世界の状況やパラダイムは根本的に変わり、全く新しい状態に移行していることを「フェーズ・チェンジ」と表現しています。

これは化学で「相転移」と言われる概念です。物質が一つの状態から全く異なる状態へと変化する現象を指します。ここでは社会が従来のヴーカが示す状況から、より深刻で根本的な変容を遂げていることを意味しているといえます。

次に、このような変化から、混沌、理解不能な世界を明確に表すフレームワークであるBANIの意味を見てみましょう。



BANI(バニ)の意味


BANIとお役立ち道


「脆い」

システムが外部の衝撃や内部の変化に対して脆弱で、予期せぬ状況に適応できない状態。例: 過度の効率化や単一作物の栽培により、自然災害時に食料供給が途絶える危険性。


 「不安」

将来への不確実性や予測不可能な変化により生じる不安や懸念。例:ソーシャルメディアやニュースメディアの誤報、フェイクニュースによる不安や先行きへの懸念。
 


「非線形」

原因と結果が直接的に結びつかず、予測困難な状態。例: 地球温暖化による微かな温度上昇が引き起こす予期せぬ大規模な気象変動。


 
「理解不能」

出来事の詳細やプロセスが不透明で、理解や説明が困難な状態。例:AIのアウトプットの原因やそのプロセスを正確に理解・説明をすることが困難



後編では、バニへの対処を考えていきます。

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  「BANI」(バニ)と「お役立ち道」(後編) 混沌、理解不能な世界を明確に表す フレームワークであるBANI(バニ)を知り、世界の混沌への対処を見る。 お役立ち道ねっと



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