「ネガティブ・ケイパビリティ」とお役立ち道
混沌とした世界、すぐに答えや解決策を求めるのではなく、あいまいさや不確実性を受け入れそれらと共存する力かもしれない。一度立ち止まることが必要かも。
ネガティブ・ケイパビリティ
詩人のジョン・キーツが提唱した概念で、「不確かさの中で事態や情況を持ちこたえ、不思議さや疑いの中にいる能力」 (統一された定義は存在しない)。
参考:枝廣淳子(2023)『答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ』イースト・プレス., 帚木蓬生(2017)『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』朝日新聞出版
すぐに答えや解決策を求めるのではなく、あいまいさや不確実性を受け入れ、それらと共存する力のことです。
図の右にあるように、「葛藤保持力」とも例えられます。これは日本を代表する臨床心理学者であった河合隼雄氏が、迷いを持ちこたえる力のことをこのように呼んでいたそうです(枝廣,2023)。
ポジティブ・ケイパビリティ
この反対の概念が、ポジティブ・ケイパビリティです。これは我々が親しみ、強化してきたいわゆる「問題解決能力」と言われるものです。
これらは、物事を「前へ!前へ!」と進めていくアクセルの役割と、すぐに解決への行動に走らず、「ちょっと待てよ」と立ち止まるブレーキの役割に例えられます。
今、必要なのは一度立ち止まって熟考するブレーキ
私たちは日常から、何でも「はやく・わかりやすく・即解決」を期待されており、忙しさから立ち止まることを忘れ、「アクセル操作」に偏りがちになります。
しかし、VUCAに加えてBANI(下記参考参照)といわれる先行きが不透明な現代に、前に進むアクセルだけでは、見当違いな解決策や、大切な事だが分からないことは放置し、当面凌げる表面的な解決策を選択したり、それがまた別の問題を生むなど、多くの弊害が考えられます。
そこで、すぐに解決をしようと急がずに、「解決しない心地悪さ」と共に居ながら、一度立ち止まって熟考するというブレーキが必要なのです。
以前、ご紹介したBANIの時代では、複雑なシステムの相互作用により、予測不可能な変化が起こりやすくなっています。このようなことから、現代では、ポジティブ・ケイパビリティもネガティブ・ケイパビリティも両方が大切であり、状況に応じて双方を使えるようにすることが重要です。
(参考)混沌、理解不能な世界を明確に表す フレームワークであるBANI(バニ)
お役立ち道のステップが有効!
お役立ち道は、ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティを強くします。
この図は、お役立ち道を歩む3つの標です。
各ステップの詳しい説明は、こちらの動画をご覧ください。
3つの標の詳しい説明は、こちらの動画をご覧ください。
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お役立ち道は、ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティを強くする
簡単にお伝えすると、「想」は、一度立ち止まって、自分らしい役立ち方をじっくり考えるプロセスです。このプロセスを考えることはネガティブ・ケイパビリティを育みます。
「整」「練」は、自分らしい役立ち方を実現するために磨き続ける「心技体」を考え、発揮します。これが、ポジティブ・ケイパビリティを育みます。
そして、状況の変化や、迷いが生じたときには、また「想」に立ち戻り、「想」「整」「練」を進化させていきます。
『このように、お役立ち道を歩むことによって、ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティが育まれるといえます。まず、一度立ち止まって、自分のお役立ち道を考えてみませんか?』