
土方歳三の役立ち方/歴史を動かすお役立ちイメージ03
自分らしい役立ち方を表した「お役立ちイメージ」。
歴史上の人物は、どんな「お役立ちイメージ」を持って、社会をより良くしようとしたのか?あれこれ推察してみました。
第三話は、土方歳三。多摩の農家に生まれた土方が、どうして武士になったのか。何を貫いて生きたのか?あぶり出してみました。
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目次[非表示]
- 1.泣く子も黙る鬼の副長
- 2.士道を貫く
- 3.お役立ちイメージ 近藤勇との違い
泣く子も黙る鬼の副長
あずき:こんにちは。シリーズ、「歴史を動かすお役立ちイメージ」。今回は土方歳三さんです。今回もたろうさんと進めてまいります。よろしくお願いします。
たろう:よろしくお願いします。
当コンテンツの内容(結論)は私たちが想像力をはたらかせて推察したもので歴史的見解として誤りがある場合が大いにあります。ご理解のほどよろしくお願いします。 |
あずき:土方歳三は新選組の副⾧として有名です。多摩の農家に生まれ、24才で天然理審流に正式入門。京都では新選組の副⾧として手腕を発揮し、京を追われたあとも幕府への忠誠を尽くし、函館・五稜郭の戦いで最期を迎えます。土方歳三といえば、「泣く子も黙る⿁の副⾧」という異名もあったように、正義のためには粛清をいとわない冷酷さがあったんですね。
たろう:その一方で、俳句をたしなむ風流人だし、洋装や写真など新しいものが好きだったり、恋文を実家に送って自慢したり、餅の焼き方にこだわって隊士にふるまったりなど、茶目っ気ある逸話も沢山ありますね。
あずき:なぜ土方は今でも人気があるのでしょうか?
たろう:粋だからだと思うんですよ。野暮じゃない。
あずき:「粋」と「野暮」の違いは何でしょうか。
たろう:私の中では、自己承認欲求が強いかどうかではないかと。土方は、周りから認められたいとか、どう見られているかは関係ない。自分がこうだと決めた道をまっすぐ突き進みました。そういう姿に「粋」を感じますね。
あずき:具体的には?
たろう:世の中の流れなど自分の生き方に何の関係があるんだ。自分は幕府方につくと決めたのだから節義を貫き通す。というようにブレが無かったんです。また、風流人で茶目っ気もあるし、なんだかんだで面倒見もいい。新選組の隊士たちの人気も、近藤より土方の方があったみたいです。
あずき:確かに粋を感じますね。たろうさんが推察した、土方の行動理論(行動を選択する際のその人なりの判断基準)もそういうことですね。
武士とは節義にのみ生きるべきもの [観]
↓だから↓
節義に反し周囲に流されるのは [因]、武士として恥ずべき行為である [果]
↓だから↓
一度己が定めた道ならば、自らの力で進み続けなければならない [心得モデル]
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士道を貫く
たろう:土方は、武士の道、つまり「士道」という言葉に徹底的にこだわります。新選組の決まりごとの局中法度も、武士の道に背くことはダメだとある。また、切腹を命じる時の理由は、武士として腹が座っていなくてやってしまったのだから、せめて最期ぐらいは武士らしく逝け、ということなんです。
あずき:武士らしくですね。さきほど、世の中の流れは関係ないということでしたが、幕府方ではなく尊王派につく可能性もあったのでしょうか。
たろう:そうでしょうね。たまたま近藤勇や試衛館の仲間と出会い、幕府に武士として取り立ててもらった。彼らを尊王派に組み入れようという陰謀もありましたが、幕府を守るために武士になったのだから今更そっち側には行かないと固辞した。その時に身柄を預かってくれたのが、会津藩の松平容保公です。ですから余計に幕府への恩義は忘れない、節義を尽くそうと決めたのだと思います。
あずき:たまたま縁が重なって武士になったのなら、もとは武士になりたいと思っていたわけでもないんですか?
たろう:武士になりたいとは少年の頃から言っていたようです。
あずき:黒船が来るか来ないかの時代で武士の存在意義が曖昧な頃ですよね。なぜなりたかったのでしょうか。
たろう:原体験が何かはわかりません。でも、名を上げるなら武士だと思っていたようです。黒船が来て、江戸でその動きを感じて、だんだん強い想いに変わったのだと思います。
あずき:近藤勇や試衛館の仲間の影響も大きかった?
たろう:その可能性もありますよね。
あずき:なりたかった武士になれた以上は、例え幕府方に勝ち目がないことがわかっていても、節義を尽くすということですね。
たろう:はい。幕府を捨て勝ち馬に乗るのが世間一般的には当たり前だとしても、それは士道じゃない。勝ち負けは問題ではなく、この道で生きると決めて貫くことが尊いことだ、ということですね。
あずき:武士に憧れて、武士になった人が、武士を貫いて最期を迎えた。もう本当にそれだけの人?
たろう:はい。それだけですね。
お役立ちイメージ 近藤勇との違い
あずき:すごいですね。ではそろそろ、土方のお役立ちイメージについてですが。
たろう:身近な人には親切だし、一旦節義を尽くすと決めたら貫き通すという点では、お役立ちの源泉はありますよね。ですが、「社会をより良く」という点はあまり感じられないですね。そこが近藤と違うところです。近藤は、日本を良くするために思想の勉強もしたし、新選組のトップとしていろいろ動いて影響を与えたと思います。
あずき:そうですよね。近藤は多少なりとも国を動かす力になったけど、こう言ったら身も蓋もないんですが、土方の場合はいてもいなくても日本は変わらなかったのかなと感じました。
たろう:そうですね。自分が武士として強くありたいだけだったと思います。
あずき:結論ですが。
たろう:土方は「お役立ち道」ではなく「士道」を貫いた。
あずき:でも皮肉なことに、今の時代、心を動かしているのは土方のほうだという。なんか面白いですね。
たろう:こういう生き方が好きな、私みたいな人が一定割合いるんですよ。憧れますよ。
あずき:図らずも、後世の人たちにすごく影響を与えて役に立っているという。素敵ですね。今回もありがとうございました。
たろう:ありがとうございました。
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