ダイナミックに変化を続ける昨今、企業は、「持続可能な社会の実現」「誰もがその人らしく暮らせる社会の実現」に向けて、社会課題の解決や、新たな価値の共創にチャレンジしています。

こうした潮流の中で、企業が社会課題の解決と新たな価値創出を実現していくためには、それを支える組織文化が極めて重要となります。とりわけ、「挑戦」「協調」「お役立ち」という3つの価値観は、その根幹を成すものです。

本稿では、これらの価値観について、それぞれの意義と実践のポイントを解説していきます。

なぜ今、組織文化が企業価値を左右するのか

社会や市場環境が急速に変化する中で、企業に求められる役割は大きく広がっています。単なる製品・サービスの提供にとどまらず、社会課題の解決や新たな価値の創出が、企業の持続的成長に直結する時代となりました。

こうした変革を実現するために重要となるのが、戦略や制度だけではなく、それらを支える「組織文化」です。どれほど優れた戦略を描いたとしても、挑戦を避け、部門間が分断していれば、実行には至りません。逆に、挑戦を後押しし、協力し合い、社会への貢献を自分ごととして捉える文化が根付いていれば、組織は自律的に変化し続けることができます。

いま、多くの企業が直面しているのは、「何をやるか」ではなく、「どう実現するか」という問いであり、その答えの鍵を握るのが組織文化なのです。

変革を阻む“よくある組織の壁”

組織文化の変革は一朝一夕で実現できるものではありません。

多くの企業に共通して見られる課題があります。

  • 「失敗を避けること」が優先されるあまり、新たな挑戦が生まれにくい
  • 部門ごとの最適化が進みすぎた結果、組織全体としての協調が機能していない
  • 「顧客や社会への貢献」を掲げていても、日々の業務の中ではその意識が希薄になってしまう

これらの課題は個別に存在しているようでいて、実は相互に関連しています。挑戦がない組織では協力も生まれにくく、協力がなければ本質的なお役立ちも実現できません。

多くの企業が「変えたい」と感じながらも変えられない背景には、こうした構造的な壁が存在しているのです。 

こうした状況を打破するためには、まず自社の組織文化の現状を客観的に把握し、どこに課題があるのかを明確にすることが不可欠です。挑戦・協調・お役立ちといった観点で現状を可視化することで、初めて具体的な変革の第一歩が見えてきます。

3つの価値観がもたらす組織の変化

では、組織文化を変革するためには何が必要なのでしょうか。

その中核となるのが、「挑戦」「協調」「お役立ち」という3つの価値観とそれに基づく行動様式です。

 

  • 「挑戦」は、現状に安住せず、新しい価値を生み出す原動力となります。

  • 「協調」は、個々の力を結集し、より大きな成果を生み出すための基盤です。

  • 「お役立ち」は、企業活動の軸を社会や顧客に据える価値観です。

これら3つが高い組織文化のことを、「お役立ち道の文化」といい、相互に作用し合うことで、より良い組織文化を形成していきます。

組織文化を変えるための実践アプローチ

では、これらの価値観をどのように組織に根付かせていけばよいのでしょうか。そのアプローチを3つのプロセスをご紹介します。

可視化する
(現状把握)

挑戦・協調・お役立ちといった価値観が、どの程度組織に浸透しているのか、どこに課題があるのかを明らかにすることで、変革の出発点が定まります。

 

仕組みに落とし込む
(設計・実行)

評価制度やマネジメントのあり方、部門横断の連携、情報共有の仕組みなど、日々の業務の中で実践される形に設計していくことが求められます。

 

定着させる
(人と習慣づくり)

コミュニケーションやマネジメント、業務推進に関するスキルを高めることで、変革を支える第一線メンバーの行動が変わり、結果として文化が根付いていきます。

 

お取り組み例

  • 企業profile

業種:サービス業 / 従業員数:約3500名 / お取り組み主管部門:営業部門

01

お取り組み前

  • 全国展開の強みがあるものの、シェアが減少傾向
  • お客様との関係性を変えたいが、窓口担当者への定期的な訪問が主で、お客様トップとの接点を作ることができない

02

お取り組み内容

  • 目指す営業スタイルの仮説を立てる
  • 組織文化診断をエリアごとに実施し、全体の課題と各エリアの課題を明確化
  • 全体の組織文化診断結果をみて、本部から支援策(制度・プロモーション等)を投入
  • 各エリアの課題に沿って、マネジメントとお客様対応の「変革行動」を促進
  • 全体と個(エリア)のPDCAを回しながら、成果を検証し、新たな課題に取り組むサイクルを定着

03

お取り組み後の変化や成果

  • これまで、個々で試行錯誤を続けていた営業のやり方が、トレーニング等を通じて共有化され、相互のレベルアップが図られるようになった
  • お客様の難しい課題に対して、これまでは「できません」とあきらめていたが、チームメンバーで知恵を出し合い、これまでにないソリューションを提案する習慣がついてきた
  • エリアの顧客の状況を可視化し、お客様毎の課題にあったアプローチができるようになった。また、お客様への適切なアプローチをマネジメントに組み込み、お客様へ適切なタイミングで、適切な働きかけができるようになった
  • エリアを越えて、情報交換が活発になり、お客様のために更に役立とうとする取り組みが増えてきた
  • 本部からのプロモーションと、営業の関係構築の両輪で、お客様が自社をパートナーとして見てくれるようになった

自社の組織文化の革新を一歩進めるために

組織文化の重要性は理解できても、「どこから手をつければよいのか分からない」「自社だけで変えきれるのか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

実際、組織文化の革新には、客観的な視点や専門的な知見が大きな力を発揮します。外部の視点を取り入れることで、自社では気づきにくい課題が明確になり、より効果的な打ち手を見出すことが可能になります。

また、組織文化の革新は一度きりのプロジェクトではなく、継続的な取り組みです。伴走するパートナーの存在は、その推進力を大きく高めます。

もし、「自社の組織文化を変えたい」「より良い組織を実現したい」とお考えであれば、まずは一度、自社の現状を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、次の変革につながっていきます。

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