
ネガティブ・ケイパビリティと組織風土 ②
「ネガティブ・ケイパビリティ」をわかりやすく知る。解決を急がず、曖昧な状況や不確実性と向き合う力は、チームや組織の成長を支える重要なスキルです。若手社員の小川ひなた・・・今回は企画に挑戦!
今、注目されるネガティブ・ケイパビリティ
先行きが不透明な現代に、前に進むアクセルだけでは、見当違いな解決策や、大切な事だが分からないことは放置し、当面凌げる表面的な解決策を選択したり、それがまた別の問題を生むなど、多くの弊害が考えられます。
そこで、すぐに解決をしようと急がずに、「解決しない心地悪さ」と共に居ながら、一度立ち止まって熟考するというブレーキが必要。そう思っても、それを阻害したり促進したりする組織風土は見過ごせない。
小川ひなたも、日々自分を取り巻く課題や企業風土に直面している。
登場人物:
小川ひなた(25歳・入社3年目):真面目で丁寧な仕事ぶりが評価されるものの、変化や曖昧さに戸惑うことも多い。
田島課長(45歳・上司):顧客対応が得意な一方で、指示が大雑把になりがち。
中村先輩(30歳・チームリーダー):経験豊富で面倒見が良いが、仕事の進め方はざっくり派。
第2話:「面白い企画って何?」
抽象的な指示にとまどう
「もっと“面白い”企画を出してほしい。」田島課長の言葉に、ひなたは戸惑った。
「面白いってどういう意味だろう…?」
ひなたは、指示が曖昧なまま進めるのが苦手だった。「具体的な目標が分からないと、自分の判断が正しいのか不安…」と思い悩む。
そして、どうせこのまま進んでもね、無駄な努力だよねと投げやりになる。
同僚がこっそりとつぶやいた。「どうせ、最終的には課長の経験や価値観で決まるんだからね。」
ひなたも心の中でうなずく。
数日たったが、田島課長は何も聞かない。なんか見捨てられたような気分にもなる。ちょっとやっぱりもやもやする。「自分なりにやれることをやってみよう」と決意する。
ひなたの挑戦「曖昧な状況でも動いてみよう。」
ひなたは、中村先輩にアドバイスをもらいながら、行動を変えてみた。
①企画の意図の再確認:田島課長に「なぜ、いまこの企画の話が出たのか?その背景は何か?を確認する。
②企画の意図を踏まえながら複数案を用意: 今回は「ターゲット重視」「コスト削減重視」「見た目重視」と、3つの案を作成。
③途中でフィードバック: 進捗を課長に共有し、「この方向性で良いでしょうか?」と確認。
最終的に、ひなたの「ターゲット重視」の案が採用される。
私が気にしていた「面白い企画なんて自分にはできるわけない」という部分が、社内で①~③のプロセスを踏む過程で払拭された気がする。“面白い”かどうかは結局わからないけど・・・(笑)やらないと何も変わらない。一歩踏み出して良かった!
組織風土に関する阻害要素
・曖昧な目標設定→明確なゴールが共有されず、部下が試行錯誤を強いられる。
・現場の意見が反映されにくい→「上司の価値観で決まる」という現場の不満が蔓延。
組織風土に関する促進要素
・試行錯誤を歓迎する文化→課長が途中フィードバックを提供し、方向修正をサポート。
・中村先輩が、ひなたの挑戦を応援してくれる環境。