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向社会的モチベーション/お役立ち道に関する学術的な補足2/6

このシリーズは、以下の記事に出てくる言葉や学術的背景について、詳しくご紹介します。

今回は、前回ご紹介した「お役立ち道の定義」の中にある、「お役立ちの精神」とそれに基づく「行動」に相当する学術的な定義、「向社会的モチベーション」についてご紹介します。

▶ 関連個所はこちら >> 上記1/2記事内 お役立ち道とは 

※引用元や参考文献は、各[*注釈番号]と、記事下の「参考文献・注記」記載内容を照らし合わせてご確認ください。


「お役立ちの精神」とそれに基づく「行動」に相当する学術的な定義

向社会的モチベーション

向社会的モチベーションは、組織行動研究での主流な定義として、

向社会的(※)な変化をもたらすモチベーション [*1]
他者に恩恵もたらすために努力しようとする欲求 [*1]
※向社会的とは、
社会的に良いとされる、あるいは望ましいこと [*2]

とされています。

「お役立ちの精神」は、この「向社会的モチベーション(prosocial motivation)」にほぼ相当するといえます。

向社会的行動

さらに、「向社会的行動」とは、

他者の利益を意図した自発的な行動 [*2]

と定義されます。

「お役立ちの精神」に基づいて行動をすることは、この「向社会的行動」(prosocial behavior)に相当するといえます。

そして、「向社会的モチベーションは、向社会的行動に対するモチベーションを意味[*1]」するとされます。つまり、お役立ちの精神は、お役立ちの精神に基づく行動に対するモチベーションを意味するといえます。

両者の関係を表すと、以下のようになります。

向社会的モチベーション

(お役立ちの精神)

向社会的行動

(お役立ちの精神に基づく行動)

※株式会社ジェックまとめ

ここまでの内容を踏まえて、「お役立ち道」を学術的に表現するとすれば、「お役立ち道は、あらゆるステークホルダーに対して、向社会的な変化をもたらすモチベーション(欲求)と、向社会的な変化を実現するための技量を継続的に探究すること」と言えます。



向社会的モチベーションが及ぼす影響と2つの側面

向社会的モチベーションが及ぼす影響

お役立ちの行動の源とも言える向社会的モチベーションには、「生産性や創造性、ウェルビーイング(※)(well-being)、組織コミットメントの向上、離職率の低下 [*3]」など、従業員や組織に良い影響をもたらすことが示されています。(※ウェルビーイングとは「主観的幸福感や満足感、ポジティブ感情、健康が良好である状態などを総称 [*3]」)

一方で、「過重労働やストレスの上昇、成果の低下 [*4]」など、良い影響を及ぼすとは限らないことも指摘されています。

このように異なる影響を及ぼす背景には、向社会的モチベーションに2つの側面があることによります。[*3]

向社会的モチベーションの「自律的側面」と「統制的側面」

向社会的モチベーションには、自律的側面(自らの意思に基づいて自発的に他者の福利増進に動機づけられている状態)と、統制的側面(義務感や羞恥心などの心理的圧力や周囲からの圧力によって動機付けられている状態)があることが明らかにされています [*3]。

そして、日本企業の従業員を対象とした研究の結果、向社会的モチベーションの自律的側面は不安やネガティブ感情、消耗感を低下させるという好影響を、統制的側面はそれらを高めるという悪影響を与えることが確認されました [*3]。



参考文献・注記

[*1] SHIN Hayoung(2021), 「向社会的モチベーション研究レビュー―概念定義と組織行動研究への適用を中心に―」, 『日本労務学会誌』2021年21巻2号, 日本労務学会, J-STAGE(2026.3.2確認)

[*2] 村上達也, 西村多久磨, 櫻井茂男(2016)「家族, 友だち, 見知らぬ人に対する向社会的行動—対象別向社会的行動尺度の作成—」, 『教育心理学研究, 64(2)』, pp.156-169. 日本教育心理学会

[*3] SHIN H.,島貫智行 (2021),「向社会的モチベーションの統制的側面―自己決定理論に基づく再検討―」. 『組織科学』 55(2), pp.61-73, 組織学会, J-STAGE(2026.3.2確認)

[*4] Bolino, M. C., Grant, A. M. (2016)「The Bright Side of Being Prosocial at Work, and the Dark Side, Too: A Review and Agenda for Research on Other-Oriented Motives, Behavior, and Impact in Organizations」, 『The Academy of Management Annals, 10(1)』, pp.599-670, Academy of Management(2026.3.3確認) ※本論文の内容は、SHIN, H.・島貫(2021)[*3] においても日本語で紹介(引用)されています。



👓 当シリーズのベースとなる記事

📖「お役立ち道に関する学術的な補足」記事一覧

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