トリプルボトムラインとお役立ち道
持続的な企業の純利益(経済的な範囲)を確保するために、経済、社会、環境の3つの面からの統合的なアプローチが必要。それらの面がバラバラになってはいけない。企業も個人も同じではないだろうか。
「トリプルボトムライン」と「お役立ち道」
今回は「トリプルボトムライン」と「お役立ち道」について考えていきます。
トリプルボトムラインの前に、まず、「ボトムライン」を確認しましょう。
ボトムラインとは、損益計算書の一番下に位置する当期純利益を指します。
つまり、「利益や損失が最終的に集約される一番下の場所」で、企業の経営成績を示す重要な指標として使われています。
ちなみに、トップラインは、収益の総額を指す言葉で、損益計算書の一番上に位置する「売上」を指します。
トリプルボトムラインは、企業の持続可能性を評価する枠組みで、経済的な繁栄のみではなく、社会、環境の3つの面から企業業績を考えようとするものです。
(英国のシンクタンクの創業者であるジョン・エルキントン氏が提唱しました。)
しかし、2018年、エルキントン氏は、トリプルボトムラインの概念を「撤回」することを提案しました。
トリプルボトムラインは、企業がより持続可能で、社会的に責任ある方法で運営することを促すために提唱されました。
しかし、多くの企業や組織では、経済、社会、環境の3つの側面を単にバランスさせるための会計的な手法や指標として表面的に利用するようになりました。
この図は、3つの側面が独立して扱われ、持続可能性に向けた統合的なアプローチが欠けている状態を表しています。
3つの各側面から伸びる矢印は、それぞれの側面が特定の指標や目標に焦点を当てており、全体的な持続可能性の目標からは遠ざかっていることを表しています。
しかし、エルキントン氏は、トリプルボトムラインの概念を完全に放棄することを提案しているわけではありません。
撤回の文書には、「TBLの革新と展開に新たな波が必要だ」とあります。
「トリプルボトムラインを捨て去れ」ではない
「we need a new wave of TBL innovation and deployment. 」
TBLの革新と展開に新たな波が必要だ。
*Elkington, J. (2018). 25 Years Ago I Coined the Phrase "Triple Bottom Line." Here's Why It's Time to Rethink It. Harvard Business Review. https://hbr.org/2018/06/25-years-ago-i-coined-the-phrase-triple-bottom-line-heres-why-im-giving-up-on-it.
つまり、トリプルボトムラインをより進化させる必要があり、より深く、本質的に持続可能性を経営に組み込むべきだというメッセージといえます。
「お役立ち道経営」は、一人ひとりの中にある「何かの役に立ちたい」「役に立つことが嬉しい」といった「お役立ちの意識」を集めて経営に活かし、一人ひとりが仕事を謳歌しお役立ちにまい進することで、企業も社会もより良くしていこうとする経営です。
このように、一人ひとりの「お役立ちの意識」に、トリプルボトムラインの視点が入っていると、私たちが役に立てることが広がりますね。
そうなると、企業も社会もより良い方向に向かいそうですね。
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