
変革か?業績か?、価値創造か?生産性か?/経営トップの経営判断10カ条【第6話】
新たな価値を創造しようと、新たな戦略を打ち出す。
「戦略とは捨てること」が定石とはいえ、これまでのお客様はどうなるの?
これまでの業績は捨てきれない。
どうすれば、変革がうまく進むのか!?
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※動画の内容と、下のテキストの内容は同じです。
このシリーズは、『不倒不滅を実現する 経営トップの経営判断の基準とは』(株式会社ジェック, 葛西浩平, 2020, Kindle版)をベースに再編集しました。
より良い社会をつくるために、グローバル規模で社会課題解決に取り組んでいる企業が増えています。
そのためには、これまでの延⾧線上ではなく、イノベーションを起こし新たな価値を創ることが求められています。
それと同時に、今の業績を著しく落とすことなく変革を進める必要もあります。
経営者Eさんの場合-事業コンセプトの転換
私が役員の頃、我が社では「自社製品販売業」から「社会課題解決業」への転換を図る取り組みを始めました。
そこで、これまで、「開発、製造、販売、技術、スタッフ」など機能別だった組織体制を、「社会課題のテーマ別に各機能混合」のフラットな組織体制に変え、それぞれのテーマの専門性を高め、新たな価値を生み出し、新たな市場を開拓するという戦略を打ち出しスタートさせました。

数年間この体制で進めた結果、チーム内の連携が進み、社会課題解決につながる新たな価値を生み出したチームも出てきました。しかし、多少のチャレンジは見られたものの、従来製品の販売やありきたりのアレンジにとどまり、新たな市場の開拓に至らなかったチームがほとんどでした。
全体的な成果の進捗は遅く、業績の比率から見ると従来製品の販売に頼っているチームに支えられているというのが実情でした。
このまま価値創造の事業モデル、つまり社会課題テーマ別の混合組織体制を続けるか、効率性を重視で生産性が高く業績が読めるこれまでの機能別の事業モデルに戻すのかという判断に迫られました。

解説-変革か業績か価値創造か生産性か
価値創造の無限サイクル
社会課題を解決する価値を創造するには、機動力のある横断的な専門チームによって、市場に近いところで顧客の潜在的なニーズを汲み取り、顧客をはじめとしたステークホルダーと共創して、トライ&エラーを繰り返しながら取り組みを進化させる「価値創造の無限サイクル」を回していくことが大切です。

とはいっても、新しい事業モデルの変革には、以下のようなデメリットがあります。
- 変革に時間がかかりすぐに業績につながらない(投資期間と思えるか)
- 社会課題に目が行き、目の前のお客様をないがしろにしてしまう
- 組織体制を変えることへの不安や抵抗。機能別の連携が取れず、同じような取り組みがあちこちで始まり、生産性が下がる
更に、これまでの事業モデルをすぐに捨てるわけにはいきません。
- 長年お付き合いのあるお客様への製品提供をやめるわけにはいかない
- 何より、変革過程の業績を支えるベースになっている
つまり、新しい事業モデルへの変革には時間がかかり、業績成果に反映されるまでは「投資期間」と腹をくくって取り組めるかどうかです。
しかし、長期間ただ我慢していては、組織の体力が持たなくなります。ではどうすれば良いのでしょうか?
価値創造の事業モデル(戦略や体制)に移行するために
三つあります。
- これまでの事業モデルと価値創造の事業モデルを統合する
- 社会起点の価値創造型戦略を構築する
- 「価値創造の無限サイクル」を全社で回す
1.これまでの事業モデルと価値創造の事業モデルを統合する
⾧年の取引先は「製品を買ってくださる大切なお客様」から、「より良い社会づくりのために新たな価値を共創し共に繁栄するパートナー」として関係性を進化させるチャンスにしましょう。

2.社会起点の価値創造型戦略を構築する
「社会をより良くする」ということを最終目的に、目の前のお客様からその先のお客様社会につながるまで、それぞれのメリットを考え、一気通貫の戦略でステークホルダーを巻き込んでいきましょう。

3.「価値創造の無限サイクル」を全社で回す
チームで取り組んだ価値創造の無限サイクルの中から生まれた、商品やサービスや戦略は、全社で取り組んだ方が良いものをピックアップして、事業モデル全体に反映をさせることで、全社として、より良い価値創造につながると同時に、無駄な取り組みを無くし、それぞれのノウハウを活かし合うことができます。結果的に業績向上のスピードも上がるでしょう。
そのためにはチームを横断しての情報共有や、価値共創の課題解決をしたり、お互いが挑戦していることをタイムリーに共有する場やしくみを儲けましょう。

「社会課題に挑戦する」「価値創造にチャレンジする」、そう決めた以上は、目先の業績や生産性に左右されるのではなく、それらを変革にうまく取り入れられるような意思決定をしていきましょう。
経営者Eさんのその後
その後、経営トップの判断として、社会課題解決がうまくいっている一部のチームを残して、残りのチームは機能別の組織体制に戻しました。社内には、「社会課題解決は一部のチームがやること」という意識が広がり、全社まるごと「社会課題解決業」への変革が難しくなりました。
経営トップを引き継いだ私は、社会課題テーマ別の混合組織体制に戻そうかと日々葛藤し思い悩んだ末、価値共創の事業モデル体制に戻しました。
しかしこの迷走ぶりに、変革の主要メンバーが我が社に見切りをつけて辞めていくという事態も起こりました。

こういった社内の混乱を後々にまで引きずってしまい、変革にはかなりの時間がかかり、かつ、当初描いていた成果はまだ道半ばというところです。
まとめ-経営トップの判断基準
「価値創造の戦略と体制になっているか」で判断せよ | |
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次回は、「6.お役立ちビジョンの実現からの発想」についてご紹介します。
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