
“未来”からの発想か? “今”からの発想か?/経営トップの経営判断10カ条【第7話】
混迷をきわめる市場環境。
生き残りをかけて新たな戦略に挑む。
「お役立ちビジョン」を実現するために、未来からやることを落とし込むのか?
今できることをコツコツ積み上げるのか?
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※動画の内容と、下のテキストの内容は同じです。
このシリーズは、『不倒不滅を実現する 経営トップの経営判断の基準とは』(株式会社ジェック, 葛西浩平, 2020, Kindle版)をベースに再編集しました。
昨今、社会情勢や経済環境は変化のスピードが速く、先を予測することすら困難な時代になりました。
企業は、生き残るために企業価値を高めようと必死に模索を続けています。自社の「あり方」そのものを見直し、社会にどう役立つのかを追求し、お役立ちビジョンを掲げる企業も増えています。
一方で、先を予測することが困難な時代において、お役立ちビジョンを描くことは無駄だという考え方もあります。
果たしてどうなのでしょうか?
経営者Fさんの場合-カリスマトップの経営から全員参画の経営へ
我が社は創業以来、アイデアマンでカリスマ性の高いトップが、組織をけん引してきました。ビジョンや戦略はトップが考え、その通りに実践していれば業績が上がってきたものでした。
そのトップが第一線を去り、市場環境が低成⾧時代に陥ってから、業績が思うように上がらなくなったのです。
そこで、後を引き継いだ私は、トップ一人による経営体制から、全員参画型の経営にシフトをしようと考えました。更に、先が読めない時代だからこそ、「お役立ちビジョン」を一人ひとりが描いて、その実現のために力を合わせて新たなことにチャレンジして、イノベーションを起こそうという方針を打ち出したらどうかと考えました。
一方で、先の見えない時代だからこそ、これまで市場から選ばれていたことを、コツコツとやり続ける方が経営的にも安定するし、業績が右肩上がりにならなくても、やがてこの不透明な時代も終わるだろうという意見もありました。
当然、どちらもメリットもデメリットもあり、選択に迷いました。

解説-“未来”からの発想か “今”からの発想か
「因果発想」と「果因発想」
「お役立ちビジョン」とは、未来に創りたい状態をあらわしたものです。
この「創りたい状態」を実現するには「何をすれば良いか」を考えます。すると、現状にとらわれない新たな取り組みが生まれます。
ビジョンを描かない場合は、これまでの成功法則を踏襲し、できることをコツコツと行います。過去からの延⾧線上と言えます。こんなことをやったから、こうなったという、「原因と結果の関係」から、この発想を「因果発想」と言います。
逆に、「こういう結果を得るために、こんな原因を意図的に作る」ので、こちらは「果因発想」と言います。

市場が右肩上がりの時は、「因果発想」で効率的に業績を上げることができ、一時的に景気が悪くなったとしても、必ず短期間で回復するとわかっているため我慢もできます。しかし、現在のように先が読めない時代の場合は、成功法則が通用しなくなり、⾧期に渡って低迷すると、社員の士気も下がり、ますます業績が上がらなくなってしまいます。却ってリスクが高い選択と言えるでしょう。
それならば、「果因発想」で、「私たちはこうしたい」という想いのもと、新たなことにチャレンジするからこそ、イノベーションがおき、新たな価値が生まれ、新たな市場が開拓できる可能性が高まります。更に、社員も、自分自身が描いた「お役立ちビジョン」や、組織の「お役立ちビジョン」実現のために知恵を絞り、力を合わせて進みますので士気も高まります。未来を創るチャンスと言えるでしょう。
「果因発想」の手順をまとめたものを、以下にご紹介します。
「お役立ちビジョン」実現の手順(果因発想)
- 「こういう、より良い社会を創りたい」というお役立ちビジョンを掲げる。
- そのために、10年後、5年後、3年後に、どうなっていたいか(結果)を、ブレイクダウンする。
- それぞれ創りたい状態にするには、何をすれば実現できるか(原因)の仮説を立てる。
- 実現のシナリオをつくり、それぞれの強みや想いを活かした役割を決める。
- シナリオ実現のプロセスに、組織力を活かして取り組む。
- 「仮説・実行・検証・進化」のPDCAを回し、成果を検証する。
このように進めると、より良い未来を創ることができるだけでなく、組織の知恵と力を引き出すことができるのです。
経営者Fさんのその後
未来からの発想で「お役立ちビジョン」実現のシナリオを描くと決めたものの、「それではリスクが高いから、現在の延⾧線上で堅実に進む方が良い」と考える役員もいました。「お役立ちビジョン実現」のためには、一人ひとりが「お役立ちビジョン」を描くことからスタートするのですが、経営陣が一枚岩になり切れずその取り組みが遅れてしまいました。
役員間での意思統一を図ることに2年を要し、ようやく「自分の未来を自分で決める」という当初の趣旨に基づいて取り組みを始めました。
そこで、未来からの発想を強化するために、全社員に定期的に「お役立ちイメージシート」を配布し、個人のお役立ちビジョンを描き、提出することを制度化しました。

お役立ちビジョンが共感できるメンバーが集まり、チームビルディングに役立てたり、ビジョン・戦略の重要性を徐々に理解し、発想力や価値創造力が組織としてもついてきたと実感しています。
まとめ-経営トップの判断基準
「お役立ちビジョンの実現から発想し、 どうすればできるか」で判断せよ | |
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次回は7.原則の一致・行動の自由についてご紹介します。
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