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原則の一致・行動の自由/経営トップの経営判断10カ条【第8話】

新たな未来を創るために、

経営トップが考える枠のなかで行動を徹底させるべきか、

経営トップが考える枠をはみ出して自由にお役立ちが創造できる環境をつくるべきか。

その時に必要な経営スタンス「原則の一致・行動の自由」とは?

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※動画の内容と、下のテキストの内容は同じです。

このシリーズは、『不倒不滅を実現する 経営トップの経営判断の基準とは』(株式会社ジェック, 葛西浩平, 2020, Kindle版)をベースに再編集しました。


経営者Gさんの場合-創業の想い

我が社は創業以来、順調に成⾧をしてきました。

社員数も増え、いよいよ株式上場を目指そうという段階にきたときに、右肩上がりだった業績が伸び悩んできたのです。市場環境は混迷を極めていたものの、ライバル他社は軒並み堅調だという情報が入ってくると、組織内部に問題があるのではないかと思いその原因を探ってみました。

そこでわかったのは、社員数が急激に増えた頃に、創業者が第一線を退きました。そして、創業者の想いを直接聞き、この想いを実現することを原動力としてきた、我々古参の社員が幹部になりました。

組織が大きくなり、今の社員は、創業者から想いを直接聞いたことはほとんどありません。我々も、組織が大きくなり、関係が近い部⾧層とは、想いの共有をしているつもりですが、現場の社員とのコミュニケーションが希薄になっていることに気づきました。

皆、我が社が好きな気持ちは伝わってくるのですが、「完成された会社で、安定的な就労と生活が確保できている」ことに満足しているようでした。この会社を、自分の手でより良くしようという想いを持った社員を育ててこなかったことを反省しました。

そこであらためて、創業者の想いや理念、我が社のお役立ちの方向性を伝えて、それを原動力や判断基準にして自発的に動く社員集団にしようと考えたのですが、

  • 想いや理念がきちんと伝わるだろうか?
  • 仮に伝わったとして、果たして自発的に動いてくれるようになるのだろうか?
  • それよりも、具体的な行動基準を示して徹底した方が、何をすべきかが明確に伝わって良いのではないか?

という選択を迫られました。



解説-判断基準か行動基準か

原則の一致・行動の自由

社会をより良くする価値の創造が求められている今、経営トップが考える枠の中で、行動が統一されている集団をつくるのか、経営トップが考える枠をはみ出してでも、新たなお役立ちを生み出す集団をつくるのか、後者を目指したいのは明白です。

その時に、経営トップが心がけるのが「原則の一致・行動の自由」です。

「原則の一致・行動の自由」

経営理念等を自分の判断基準として腹に落として、自己責任意識で実現のために考え、自由に行動すること

  • 「原則の一致」… 組織(集団)の構成員が、その組織の経営判断の拠り所を胎に落としていること(経営理念、お役立ち使命・ビジョン、戦略、就業規則や規律、組織文化・当たり前規準など)
  • 「行動の自由」… 自己責任意識(選択の自由に伴う責任を果たそうとする心構え)で自由に考え、自由にチャレンジすること

「原則」の中には、明文化されていなくても、「これが当たり前」という良い習慣や組織文化も含まれます。原則が一致してくると、それを判断基準として試行錯誤をしながら、お役立ちを創造します。

例えば、「我が社はお客様に食の楽しさを提供する」という理念を持っている会社の場合、

  • 自分の仕事は「食の楽しさ」につながっているか
  • 業務の効率化や業績数字を出すことが目的になって、「食の楽しさ」を忘れていないか

と自分自身で、自分の創造しようとしている価値を点検できます。

このように、社員全員が原則を判断基準として仕事をすることで、組織の個性化にもつながります。

そこに、個人のお役立ち使命やビジョンと統合することで、知恵が生まれ、自発的な取り組みが増え、経営トップが考える枠をはみ出した新たな価値の創造につながります。その時に、「原則」が一致しているので、例え前例に無いことでも、組織の目的を果たすことにつながるのです。

とは言っても組織内での「原則」を一致させることは難しいことです。そのポイントをお伝えします。

原則の一致・行動の自由 推進ポイント

1.「原則」をより良い社会づくり・社会課題解決の方向で再定義する

経営環境が変わっている今、経営トップが浸透させたい「原則」とは何かをあらためて定義づけることです。社員が共鳴し、魅力的かつ今の時代に合った「原則」か、自社の個性化につながるか、市場や社会から受け入れられるものか、再度点検してみましょう。

2.「このことだけは誰にも負けない」という組織と個人を創るマネジメントに変える

自分で考え、自己責任意識で行動を磨き、修正・進化させるマネジメントが必要です。更にチームワークを高めれば、組織としてオンリーワンでナンバーワンの価値を創造できる組織ができるようになります。指示したことをやらせきるマネジメントも重要ですが、「自らやりたいことを決め、高い目標に向かってチャレンジし成⾧し続ける」人と組織づくりにマネジメントを変えていきましょう。

3.自己責任意識の本質を共有化する

自己責任意識の本質は、「人生は選択の連続であり、今ある自分は過去の選択の結果であり、未来の自分を決めるのは、今自分が何を意識し何を選択するのかで決まること」を意味します。我々の未来を創るために今何をするのかが問われています。



経営者Gさんのその後

その後我が社は、上場計画を一旦凍結し、組織作りに専念することにしました。もちろん「原則の一致・行動の自由」を選択した我が社は、理念の浸透から取り組みました。

社員からは、

  • こんなことをするより、どう行動すれば良いかを教えてくれ
  • 白か黒かの答えが欲しい

などという声が多く出てきました。

マネジャー層も、こういった現場の戸惑いに右往左往し、時には原則で突き放す、時には事細かに指示を出すなど、迷走していた時期もありました。

「原則無き自由」を求める動きも出てきたこともあります。

そのような中、定期的に全社員と面談し、我が社の未来をざっくばらんに話し合ったり、役員に直接提案できる「社⾧直轄事業推進提案」の制度を設けたり、いろいろと手も打っています。

頼もしいことに、我が社の未来を変えることが期待できる提案や取り組みも生まれてきています。

そして私は今も、理念を社員に語り掛ける機会を、毎回のマネジメント会議や全社会議で伝え続けています。社員からは「また同じことを言っている」という雰囲気を感じなくもないですが、伝えること、いろいろ角度を変えてイメージさせること、これを根気強く行っていきたいと考えています。



まとめ-経営トップの判断基準

「原則の一致・行動の自由」で判断せよ

  • 原則とは、理念を組織(集団)の構成員の判断基準とすること。
  • 行動の自由とは、自由意志と自己責任で、自分で考え行動すること。
  • 「原則の一致・行動の自由」を実践するには、マネジメントの中核に「個の確立」を置くことである。
  • 「個の確立」とは、「自分の責任でメタ認知を働かせ自分が好きで得意なことでお客様や組織に役立つこと」でありそのときに人は仕事を謳歌できる。さらにそれを磨いていけば、「お役立ち使命」を自覚して仕事に取り組めるようになる。
  • さらにチームワークを高めれば、組織としての「個の確立」が促進される。
  • これが原則の中核であり、その上に行動の自由がある(どちらが自由と責任意識を強化できるか)。

次回は、「8.顧客接点の質的向上になるか」についてご紹介します。

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